服薬情報等提供料2算定と点数と要件と算定例

服薬情報等提供料2算定と点数と要件と算定例

服薬情報等提供料2算定と点数と要件

服薬情報等提供料2の基本情報
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点数

20点(月1回限り算定可能)

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算定の主体

薬剤師が必要性を認めた場合に算定可能

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情報提供先

保険医療機関・リフィル処方箋の処方医・介護支援専門員

服薬情報等提供料は、薬剤師が患者の服薬状況や体調変化などの情報を医療機関等に提供することで、より適切な薬物療法を支援するための調剤報酬点数です。特に服薬情報等提供料2は、薬剤師が主体的に判断して情報提供を行う場合に算定できる重要な項目となっています。

 

2024年度の調剤報酬改定では、服薬情報等提供料2の算定要件に変更があり、より明確に区分されました。この記事では、服薬情報等提供料2の算定要件や点数、具体的な算定例について詳しく解説します。

 

服薬情報等提供料2の点数と算定要件

服薬情報等提供料2は20点で、月1回に限り算定することができます。2024年度の調剤報酬改定により、以下の3区分に明確化されました。

 

  1. イ:保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合(20点)
  2. ロ:リフィル処方箋による調剤後、処方医に必要な情報を文書により提供した場合(20点)
  3. ハ:介護支援専門員に必要な情報を文書により提供した場合(20点)

服薬情報等提供料2の算定には、以下の要件を満たす必要があります。

 

  • 保険薬剤師がその必要性を認めた場合
  • 患者の同意を得ること
  • 薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も患者の服用薬の情報等について把握すること
  • 保険医療機関または介護支援専門員に必要な情報を文書により提供すること

2024年度の改定では、患者やその家族等への情報提供が要件から削除され、リフィル処方箋に基づく報告や介護支援専門員への報告が新たに追加されました。これにより、服薬情報等提供料2の算定範囲が明確になりました。

 

服薬情報等提供料2と服薬情報等提供料1・3の違い

服薬情報等提供料には1から3までの3種類があり、それぞれ算定要件が異なります。

 

区分 点数 主な算定要件 情報提供先
服薬情報等提供料1 30点 医療機関からの求めがあった場合 保険医療機関
服薬情報等提供料2 20点 薬剤師が必要性を認めた場合 保険医療機関・リフィル処方箋の処方医・介護支援専門員
服薬情報等提供料3 50点 入院予定の患者について医療機関から求めがあった場合 保険医療機関

服薬情報等提供料1と3は医療機関からの求めに応じて情報提供を行う場合に算定するのに対し、服薬情報等提供料2は薬剤師の判断で能動的に情報提供を行う場合に算定します。

 

また、服薬情報等提供料1・2・3は、異なる内容についての情報提供であれば、同一月内にそれぞれ算定することが可能です。ただし、同一の情報を同一医療機関へ提供した場合は算定できません。

 

服薬情報等提供料2の算定例と具体的な場面

服薬情報等提供料2が算定できる具体的な場面について、いくつかの例を挙げてみましょう。

 

1. 患者の服薬状況に問題がある場合
患者が処方薬を正しく服用できていない、または残薬が多い場合、その状況と原因、対策について医療機関に情報提供することで算定できます。

 

例。

  • 「〇〇薬が飲みづらいと訴えがあり、服薬アドヒアランスが低下しています。別の剤形への変更をご検討いただけますか」
  • 「△△薬の残薬が多く見られます。理由を確認したところ、副作用と思われる症状があり自己判断で減量していました」

2. 服薬期間中に体調変化があった場合
服薬期間中に患者から体調変化の訴えがあり、薬剤の副作用の可能性がある場合、その分析結果を医療機関に情報提供することで算定できます。

 

例。

  • 「□□薬服用開始後、めまいの訴えがあります。添付文書上の副作用と一致するため、ご報告いたします」
  • 「▲▲薬の服用後、皮膚症状が出現しています。重篤副作用疾患別対応マニュアルに照らし合わせると、薬剤性皮膚障害の可能性があります」

3. 他医療機関の処方薬との相互作用が懸念される場合
患者が複数の医療機関から処方を受けており、薬物間相互作用が懸念される場合、その情報を医療機関に提供することで算定できます。

 

例。

  • 「他院で処方された■■薬と、貴院処方の●●薬には相互作用があり、効果減弱の可能性があります」
  • 「他院処方の◆◆薬と併用することで、肝機能への負担が増大する可能性があります」

4. リフィル処方箋による調剤後の情報提供
リフィル処方箋による2回目以降の調剤時に、患者の状態変化や服薬状況を処方医に情報提供することで算定できます。

 

例。

  • 「リフィル処方箋2回目の調剤時に、患者から効果不十分との訴えがありました」
  • 「リフィル処方箋による調剤を継続していますが、最近血圧の自己測定値が上昇傾向にあるとの報告がありました」

5. 介護支援専門員への情報提供
在宅患者等の服薬管理について、介護支援専門員に情報提供することで算定できます。

 

例。

  • 「一包化調剤を行っていますが、服薬管理が困難な状況です。介護サービスでの服薬確認をご検討ください」
  • 「服用時間が複雑で自己管理が難しいため、服薬カレンダーを導入しました。ケアプランへの反映をご検討ください」

服薬情報等提供料2の算定時の注意点と疑義解釈

服薬情報等提供料2を算定する際には、以下の注意点に留意する必要があります。

 

1. 算定できないケース
以下の場合は服薬情報等提供料2を算定することができません。

 

  • かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者
  • 特別調剤基本料Bを算定している場合
  • 特別調剤基本料Aを算定している場合で、敷地内薬局から敷地内医療機関への情報提供の場合

2. 文書による情報提供の形式
情報提供は必ず文書で行う必要があります。FAXやメール等の電子的な方法でも構いませんが、その場合も文書の形式を保つことが重要です。また、情報提供した内容の写しを保管しておくことが望ましいでしょう。

 

3. 患者の同意取得
患者の同意を得ることは算定要件の一つです。同意の取得方法については特に規定はありませんが、口頭での同意でも構いません。ただし、同意を得たことを記録しておくことが望ましいでしょう。

 

4. 算定タイミング
服薬情報等提供料2は薬剤師の判断で行うことから、算定タイミングは患者の次回来局時となっています。ただし、情報提供した医療機関以外の処方箋を受け付けた日や、処方箋を受け付けていない日、服薬管理指導料を算定していない場合でも、要件を満たすことで算定できます。

 

5. 薬剤服用歴への記録
2024年度の改定により、薬剤服用歴への記録は不要となりました。ただし、情報提供の内容や患者の同意取得については、何らかの形で記録しておくことが望ましいでしょう。

 

服薬情報等提供料2算定を増やすための工夫と実践ポイント

服薬情報等提供料2の算定を増やすためには、日常業務の中で情報提供の機会を見逃さないことが重要です。以下に、算定増加のための工夫と実践ポイントをご紹介します。

 

1. 患者とのコミュニケーションを活性化させる
患者との会話の中から、体調変化や服薬上の問題点を積極的に聞き出すことが重要です。特に以下のような質問を意識的に行いましょう。

 

  • 「お薬を飲み始めてから、体調に変化はありませんか?」
  • 「お薬は決められた通りに飲めていますか?」
  • 「飲みにくさや副作用と思われる症状はありませんか?」

2. 患者の服薬状況を継続的に把握する
患者が来局するたびに、残薬の確認や服薬状況の聞き取りを行い、問題点を把握しましょう。特に以下のような点に注目することが有効です。

 

  • 処方日数と残薬の量が合わない場合
  • 服薬アドヒアランスが低下している場合
  • 自己判断での用法用量の変更がある場合

3. 他医療機関の処方情報を積極的に収集する
患者が複数の医療機関から処方を受けている場合、それらの情報を一元的に管理し、相互作用や重複投与などの問題点を把握しましょう。

 

  • お薬手帳の確認を徹底する
  • 他医療機関の処方内容について積極的に質問する
  • 市販薬やサプリメントの使用状況も確認する

4. 医療機関との連携体制を構築する
日頃から医療機関とのコミュニケーションを密にし、情報提供がスムーズに行える関係性を構築しましょう。

 

  • 定期的に医療機関を訪問し、顔の見える関係を作る
  • 情報提供の様式を事前に医療機関と相談しておく
  • 情報提供後のフィードバックを求める

5. 情報提供の質を高める
単なる状況報告ではなく、薬学的な分析と具体的な提案を含めた情報提供を心がけましょう。

 

  • 問題点だけでなく、考えられる原因と対策も提案する
  • エビデンスに基づいた情報提供を心がける
  • 患者のQOL向上につながる具体的な提案を含める

これらの工夫を日常業務に取り入れることで、服薬情報等提供料2の算定機会を増やすとともに、患者の薬物療法の質の向上にも貢献することができるでしょう。

 

服薬情報等提供料2算定の地域支援体制加算への影響

服薬情報等提供料2は、地域支援体制加算の実績要件の一つとなっています。地域支援体制加算を算定するためには、以下のような実績要件を満たす必要があります。

 

地域支援体制加算の実績要件(一部)

  • 服薬情報等提供料の算定回数
  • 薬剤服用歴管理指導料の麻薬管理指導加算の算定回数
  • 薬剤服用歴管理指導料の特定薬剤管理指導加算2の算定回数
  • 薬剤服用歴管理指導料の乳幼児服薬指導加算の算定回数

これらの算定回数の合計が、直近1年間に一定数以上であることが求められます。そのため、服薬情報等提供料2の算定を増やすことは、地域支援体制加算の算定にも直結する重要な取り組みとなります。

 

2024年度の改定では、患者等への情報提供が服薬情報等提供料2の算定要件から削除されたことにより、算定のハードルが上がったと感じる薬局も多いかもしれません。しかし、リフィル処方箋に関する情報提供や介護支援専門員への情報提供が新たに追加されたことで、新たな算定機会も生まれています。

 

地域支援体制加算の算定を目指す薬局は、服薬情報等提供料2の算定機会を逃さないよう、日常業務の中で積極的に情報収集と情報提供を行うことが重要です。

 

また、服薬情報等提供料2の算定実績を高めることは、単に加算算定のためだけでなく、地域の医療・介護関係者との連携強化にもつながり、薬局の地域における存在価値を高めることにもなります。

 

服薬情報等提供料2の算定を通じて、患者の薬物療法の質の向上と地域医療への貢献を両立させていくことが、これからの薬局に求められる重要な役割と言えるでしょう。