ウラリットの効能と用法 痛風と高尿酸血症の改善

ウラリットの効能と用法 痛風と高尿酸血症の改善

ウラリットの効能と用法について

ウラリットの基本情報
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一般名

クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤

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薬効分類

アルカリ化療法剤?酸性尿・アシドーシス改善?

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主な適応症

痛風、高尿酸血症における酸性尿の改善、アシドーシスの改善

ウラリットは、痛風や高尿酸血症の患者さんの治療に広く使用されている医薬品です。クエン酸カリウムとクエン酸ナトリウム水和物を有効成分とする配合剤で、主に酸性尿の改善を目的として処方されます。本剤は尿のpH値を上昇させることで、尿酸の溶解度を高め、尿路での尿酸結晶の形成を抑制する効果があります。

 

ウラリットには「ウラリット-U配合散」と「ウラリット配合錠」の2つの剤形があり、いずれも処方箋医薬品に分類されています。散剤は淡橙色の粉末?粒状で芳香があり清涼な塩味がある一方、錠剤は白色のフィルムコーティング錠で割線が入っています。

 

ウラリットの効能と痛風治療における位置づけ

ウラリットの主な効能・効果は以下の2点です。

  1. 痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善
  2. アシドーシスの改善

痛風治療においては、高尿酸血症の是正が基本となりますが、尿のpH値も重要な因子です。尿が酸性に傾くと尿酸の溶解度が低下し、尿酸結晶が形成されやすくなります。ウラリットは尿をアルカリ化することで、尿酸の溶解度を高め、結晶形成を抑制します。

 

臨床成績によると、ウラリットの有効率は以下のとおり非常に高いことが報告されています。

  • 痛風:93.3%(180/193)
  • 無症候性高尿酸血症:98.1%(51/52)
  • 高尿酸血症を伴う高血圧症:91.2%(31/34)
  • 高尿酸血症を伴う腎障害:87.5%(21/24)

これらのデータから、ウラリットは痛風および高尿酸血症の管理において、高い臨床的有用性を持つことが示されています。

 

ウラリットの用法と用量の調整方法

ウラリットの用法・用量は剤形によって異なります。

 

【ウラリット-U配合散】

  • 痛風・高尿酸血症:通常成人1回1gを1日3回経口投与
  • アシドーシス:原則として成人1日量6gを3?4回に分けて経口投与

【ウラリット配合錠】

  • 痛風・高尿酸血症:通常成人1回2錠を1日3回経口投与
  • アシドーシス:原則として成人1日量12錠を3?4回に分けて経口投与

いずれの場合も、尿検査でpH6.2から6.8の範囲に入るよう投与量を調整することが重要です。この範囲は尿酸の溶解度が高く、結晶形成が抑制される最適なpH範囲とされています。

 

用量調整のポイント。

  • 定期的な尿pH測定による効果確認
  • 患者の腎機能に応じた用量調整
  • 水分摂取量の確保(1日2L程度が望ましい)

ウラリットの副作用と相互作用の注意点

ウラリットの主な副作用には以下のものがあります。
【0.1%?2%未満の副作用】

  • 肝臓:AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇
  • 腎臓:血中クレアチニン上昇、BUN上昇
  • 消化器:胃不快感、下痢、悪心、胸やけ、嘔吐、食欲不振
  • 皮膚:発疹
  • 泌尿器:排尿障害
  • その他:頻脈、残尿感、眠気

【相互作用】
特に注意すべき相互作用として以下が報告されています。

  1. ヘキサミン:ウラリットによる尿pHの上昇により、ヘキサミンの効果が減弱することがあるため、併用は避けるべきです。

     

  2. 水酸化アルミニウムゲル:クエン酸がアルミニウムとキレート化合物を形成し、アルミニウムの吸収を促進させる可能性があります。併用する場合には2時間以上投与間隔を空けることが推奨されています。

     

これらの相互作用は、薬剤師として患者指導を行う際に特に注意すべき点です。

 

ウラリットの処方における薬剤師のポイント

薬剤師として、ウラリットを処方された患者さんへの服薬指導では以下のポイントを押さえることが重要です。

  1. 服用タイミング
    • 食後の服用が基本(胃腸障害の軽減)
    • 規則正しい服用の重要性(尿pHの安定化)
  2. 生活指導
    • 十分な水分摂取の推奨(1日2L程度)
    • アルコール摂取の制限(尿酸値上昇の要因)
    • プリン体を多く含む食品の摂取制限
  3. 副作用モニタリング
    • 消化器症状の出現に注意
    • 定期的な肝機能・腎機能検査の重要性
  4. 併用薬の確認
    • 特にアルミニウム含有製剤との併用に注意
    • 他の尿アルカリ化剤との重複に注意

また、ウラリットは有効期間が3年と設定されており、室温保存が可能です。在庫管理においても、この点を考慮する必要があります。

 

ウラリットとアシドーシス治療の最新知見

ウラリットは痛風・高尿酸血症の治療だけでなく、各種アシドーシスの改善にも適応があります。特に以下の疾患におけるアシドーシス治療で高い有効性が報告されています。

近年の研究では、慢性腎臓病(CKD)患者における代謝性アシドーシスの管理にもウラリットが有用であることが示唆されています。CKDの進行抑制や、骨代謝異常の改善にも効果が期待されています。

 

日本腎臓学会「CKD診療ガイド2018」
また、小児領域では、Lesch-Nyhan症候群や小児急性白血病における高尿酸血症の管理にも100%の有効率が報告されており、幅広い年齢層で使用可能な薬剤であることがわかります。

 

アシドーシス治療においては、年齢、体重、血液ガス分析結果などから患者の状況に応じて適宜増減することが推奨されています。特に小児や高齢者、腎機能低下患者では慎重な用量調整が必要です。

 

ウラリットの有効成分であるクエン酸カリウムは、化学名「Tripotassium 2-hydroxypropane-1,2,3-tricarboxylate hydrate」、分子式「C6H5K3O7・H2O」、分子量「324.41」の物質です。水に極めて溶けやすく、酢酸にやや溶けにくく、エタノールにはほとんど溶けないという物理化学的特性を持っています。

 

これらの特性を理解することで、他剤との配合変化や安定性についての知識も深まります。例えば、水溶液中での安定性が高いため、経口液剤としての調剤も可能ですが、強酸性の薬剤との配合には注意が必要です。

 

ウラリットの処方を受ける患者さんの多くは、尿酸降下薬アロプリノールフェブキソスタットなど)も併用していることが多いため、それらの薬剤との相互作用や併用効果についても理解しておくことが重要です。尿酸降下薬による急激な尿酸値の低下は、痛風発作を誘発する可能性があるため、ウラリットによる尿のアルカリ化は特に治療初期に重要な役割を果たします。

 

また、ウラリットの服用により尿pHが上昇することで、一部の薬剤の尿中排泄が変化する可能性があります。例えば、弱酸性薬物は尿がアルカリ化されると再吸収が減少し排泄が促進される一方、弱塩基性薬物は再吸収が増加し排泄が減少する傾向があります。このような薬物動態学的な相互作用についても、薬剤師として把握しておくべき知識です。

 

ウラリットの使用にあたっては、定期的な尿pH測定と血清電解質(特にカリウム)のモニタリングが推奨されます。高カリウム血症のリスクがある患者(腎機能障害患者やカリウム保持性利尿薬使用患者など)では特に注意が必要です。

 

最後に、患者アドヒアランスの観点からは、ウラリット-U配合散は味や飲みやすさに配慮されていますが、長期服用が必要な場合は錠剤の方が服薬コンプライアンスが良好であることが多いため、患者の生活スタイルや嗜好に合わせた剤形選択も重要なポイントとなります。

 

以上、ウラリットの効能・用法から処方のポイントまで詳細に解説しました。痛風・高尿酸血症患者の薬物療法において、ウラリットは重要な位置を占める薬剤であり、薬剤師として適切な知識を持ち、患者指導に活かすことが求められます。