服用薬剤調整支援料1 算定 ポリファーマシー解消 薬剤師

服用薬剤調整支援料1 算定 ポリファーマシー解消 薬剤師

服用薬剤調整支援料1 算定方法と要件

服用薬剤調整支援料1の概要
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目的

ポリファーマシー解消への取り組みを評価

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算定頻度

月1回に限り125点を算定可能

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主な要件

6種類以上の内服薬を2種類以上減少させ、4週間以上継続

服用薬剤調整支援料1の算定要件詳細

服用薬剤調整支援料1の算定には、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 対象患者。
    • 内服を開始して4週間以上経過
    • 6種類以上の内服薬を保険薬局で調剤している
  2. 減薬の条件。
    • 2種類以上の内服薬が減少
    • 減少した状態が4週間以上継続
    • 減少した薬剤のうち、少なくとも1種類は当該保険薬局の薬剤師が提案したもの
  3. 算定頻度:月1回に限り125点
  4. 患者の意向確認:減薬の提案は患者の意向を踏まえて行う
  5. 服薬アドヒアランスと副作用の検討:「高齢者の医薬品適正使用の指針」などを参考に
  6. 文書による処方医への提案:減薬の提案を文書で行う
  7. 記録:患者の意向や提案に至るまでの薬学的検討内容を薬歴等に記録
  8. 調剤報酬明細書への記載:保険医療機関名と調整前後の薬剤種類数を記載

これらの要件を満たすことで、服用薬剤調整支援料1の算定が可能となります。

 

服用薬剤調整支援料1 算定のタイミングと手順

服用薬剤調整支援料1の算定タイミングと手順は以下の通りです。

  1. 患者の意向確認
    • ポリファーマシーの可能性がある患者に対し、減薬の意向を確認
  2. 服薬状況の評価
    • 服薬アドヒアランスや副作用の可能性を検討
    • 「高齢者の医薬品適正使用の指針」等を参考に評価
  3. 減薬提案の準備
    • 評価結果に基づき、減薬可能な薬剤を特定
    • 提案内容を文書にまとめる
  4. 処方医への提案
    • 文書を用いて処方医に減薬を提案
    • 提案内容と検討過程を薬歴に記録
  5. 減薬結果の確認
    • 次回来局時に処方内容の変更を確認
    • 2種類以上の減薬があったか確認
  6. 継続状況の確認
    • 減薬状態が4週間以上継続しているか確認
  7. 算定
    • 要件を満たしていることを確認後、算定
    • 調剤報酬明細書の摘要欄に必要事項を記載
  8. フォローアップ
    • 減薬後の患者状態を継続的に確認
    • 必要に応じて処方医に情報提供

この手順を踏むことで、適切なタイミングでの算定が可能となります。

 

服用薬剤調整支援料1 算定時の注意点と禁忌

服用薬剤調整支援料1を算定する際は、以下の点に注意が必要です。

  1. 対象外の薬剤
    • 屯服薬、浸煎薬、湯薬は内服薬の種類数に含まない
    • 服用開始から4週間以内の薬剤も対象外
  2. 減薬のカウント
    • 同一薬効分類の有効成分を含む配合剤への変更は減薬とみなさない
    • 内服薬以外の剤形(例:貼付剤)への変更も減薬とカウントしない
  3. 減薬のタイミング
    • 2種類以上の減薬は同時でなくてもよい
    • 提案後、段階的に減薬が行われた場合も算定可能
  4. 重複算定の禁止
    • 服用薬剤調整支援料2を算定した後、1の要件を満たしても併算定は不可
  5. 他の加算との関係
    • 提案直後の処方箋で同一内容の場合、重複投薬・相互作用等防止加算等は算定不可
  6. 特別調剤基本料Bの薬局
    • 特別調剤基本料Bを算定している保険薬局は算定不可
  7. 記録の重要性
    • 患者の意向、薬学的検討内容、提案内容を詳細に記録することが重要
  8. 継続的なフォローアップ
    • 減薬後の患者状態を継続的に確認し、必要に応じて再評価が必要

これらの注意点を踏まえ、適切に算定することが求められます。

 

厚生労働省の調剤報酬点数表に関する事項(PDF)で、服用薬剤調整支援料1の詳細な算定要件を確認できます。

服用薬剤調整支援料1 算定のための薬歴記載と文書作成

服用薬剤調整支援料1の算定には、適切な薬歴記載と文書作成が不可欠です。以下にポイントをまとめます。

  1. 薬歴記載のポイント
    • 患者の減薬に対する意向
    • 服薬アドヒアランスの評価結果
    • 副作用の可能性に関する検討内容
    • 減薬提案に至った薬学的根拠
    • 処方医への提案内容の詳細
    • 減薬後の患者状態の変化
  2. 処方医への提案文書の作成
    • 患者基本情報(年齢、性別、主な疾患など)
    • 現在の処方内容と服薬状況
    • 減薬提案の理由と根拠
    • 具体的な減薬提案内容
    • 予想される効果と注意点
    • 薬剤師の所見と推奨事項
  3. 記録の保管
    • 提案文書のコピーを薬歴に添付
    • 処方医からの回答や指示内容も記録
  4. フォローアップの記録
    • 減薬後の患者の状態変化
    • 新たに生じた症状や改善点
    • 追加の介入が必要な事項
  5. 調剤報酬明細書への記載
    • 減薬の提案を行った年月日
    • 保険医療機関名
    • 調整前後の薬剤種類数

例:○○病院にて○種類から○種類に調整

  1. 電子薬歴システムの活用
    • テンプレート機能を使用し、必要事項を漏れなく記録
    • 減薬提案の履歴を一覧で管理
  2. 多職種連携の記録
    • 他の医療従事者との情報共有内容
    • カンファレンスでの討議内容
  3. 患者教育の記録
    • 減薬に関する説明内容
    • 患者の理解度や反応

これらの記録を適切に行うことで、質の高い薬学的管理と適切な算定が可能となります。

 

日本薬剤師会が公開している服薬情報等提供料に関する資料(PDF)には、文書作成のサンプルが含まれており、参考になります。

服用薬剤調整支援料1 算定における薬剤師の役割と課題

服用薬剤調整支援料1の算定において、薬剤師は重要な役割を担っています。同時に、いくつかの課題も存在します。

 

薬剤師の役割。

  1. ポリファーマシーの早期発見
    • 処方薬の総合的な評価
    • 重複投薬や相互作用のリスク分析
  2. 患者との信頼関係構築
    • 服薬状況の詳細な聞き取り
    • 減薬に対する不安の軽減
  3. 多職種連携の推進
    • 処方医との緊密なコミュニケーション
    • 他の医療職との情報共有
  4. エビデンスに基づく提案
    • 最新のガイドラインや文献の活用
    • 患者個別の状況を考慮した提案
  5. 継続的なモニタリング
    • 減薬後の効果と副作用の評価
    • 必要に応じた処方調整の提案

課題。

  1. 時間的制約
    • 詳細な評価と文書作成に要する時間の確保
  2. 処方医との連携
    • 提案に対する処方医の理解と協力の獲得
  3. 患者教育
    • 減薬の必要性と利点の説明
    • アドヒアランス向上のための支援
  4. 評価の難しさ
    • 減薬による効果と副作用のバランス評価
  5. 算定要件の複雑さ
    • 細かい算定条件の理解と適切な運用
  6. システム整備
    • 効率的な記録と管理のためのツール開発
  7. 継続的な学習
    • 最新の薬物療法や高齢者医療に関する知識の更新
  8. 経済的インセンティブ
    • 算定点数と実際の業務量のバランス

これらの役割を果たし、課題を克服することで、薬剤師はポリファーマシー対策の中心的な存在となり、患者のQOL向上に貢献することができます。

 

日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」(PDF)は、高齢者の薬物療法における注意点や減薬の考え方について詳しく解説しており、薬剤師の役割を考える上で参考になります。
以上、服用薬剤調整支援料1の算定に関する詳細な情報をお伝えしました。この制度を適切に活用することで、患者さんの薬物療法の質を向上させ、ポリファーマシーの解消に貢献することができます。薬剤師の皆さんには、これらの知識を実践に活かし、患者さんの健康と安全を守る重要な役割を果たしていただきたいと思います。

 

算定の難しさはありますが、丁寧な患者ケアと適切な記録管理を心がけることで、確実に算定につなげることができるでしょう。また、この取り組みを通じて、薬剤師の専門性をさらに高め、チーム医療における存在感を示すことができるはずです。

 

今後も制度の変更や新たなガイドラインの発表に注目し、常に最新の知識を取り入れながら、質の高い薬学的管理を提供し続けることが重要です。患者さんの笑顔のために、一緒に頑張りましょう。