
外来服薬支援料2は、2022年度の調剤報酬改定で名称が変更された算定項目です。以前は「一包化加算」という名称で調剤料(現在の薬剤調整料)に含まれていましたが、現在は薬学管理料に分類され、対人業務としての評価に変わりました。
算定要件として重要なのは、以下の条件を満たす必要があります。
対象となる患者は主に以下の方々です。
一包化の目的は、多剤服用患者の飲み忘れや飲み間違いを防止し、服薬が困難な患者をサポートすることです。そのため、治療上の必要性が認められた場合のみ算定対象となります。
外来服薬支援料2の点数は処方日数によって異なり、処方箋受付1回につき1回算定できます。点数計算は以下の通りです。
具体的な点数表は以下の通りです。
投与日数 | 点数 |
---|---|
1〜7日分 | 34点 |
8〜14日分 | 68点 |
15〜21日分 | 102点 |
22〜28日分 | 136点 |
29〜35日分 | 170点 |
36〜42日分 | 204点 |
43日分以上 | 240点 |
実際の処方例で考えてみましょう。
【処方例1】
Rp1) A錠 1錠
B錠 1錠 朝食後 28日分
Rp2) C錠 2錠 朝夕食後 28日分
この場合、服用時点が朝食後と朝夕食後の「2剤」で、朝食後で服用時点が重なっているため算定要件を満たします。投与日数が28日なので、34×4=136点となります。
内服薬の「剤数」は薬の数ではなく、服用時点の数をカウントする点に注意が必要です。例えば、5種類の薬について1日1回朝食後に服用する指示がある場合、これは「1剤」となります。
外来服薬支援料2を算定する際、他の加算との併算定に関する制限があります。特に注意すべき点は以下の通りです。
外来服薬支援料2と自家製剤加算は同時算定できません。同一処方箋内で両方の要件を満たす場合は、いずれか一方のみを算定します。
外来服薬支援料2と計量混合調剤加算も同時算定できません。例えば、錠剤を一包化して外来服薬支援料2を算定する場合、同じ処方箋内の散剤について計量混合調剤加算を算定することはできません。
医療機関と連携して一包化を行う場合、施設連携加算を算定できる場合があります。
これらの制限は、同一の調剤行為に対して重複して評価しないという原則に基づいています。処方内容によって最も適切な算定方法を選択する必要があります。
実際の調剤業務では、様々な特殊ケースに遭遇することがあります。以下に代表的なケースとその対応方法を紹介します。
吸湿性が強いなどの理由でPTPから取り出せない薬剤がある場合、その薬剤を除いて一包化した部分が算定要件を満たしていれば、外来服薬支援料2を算定できます。ただし、一包化しなかった薬剤とその理由を調剤録等に記録しておくことが望ましいです。
患者の服薬と薬剤の識別を容易にするため、錠剤と散剤を別々に一包化した場合でも算定可能です。ただし、処方箋受付1回につき1回限りの算定となります。
臨時の投薬に係る内服用固形剤とそれ以外の内服用固形剤を別々に一包化した場合も算定できます。これは患者の服薬管理をサポートするための配慮と考えられています。
同一医療機関の異なる診療科の処方箋を組み合わせて一包化する場合、要件を満たせば外来服薬支援料2を算定できます。ただし、処方箋受付が1回となる場合に限ります。
これらのケースでは、患者の服薬状況や薬剤の特性を考慮した上で、最適な対応を選択することが重要です。
外来服薬支援料2を算定する際には、適切な薬歴記載が求められます。以下のポイントを押さえておきましょう。
なぜ一包化が必要なのか、その理由を明確に記載します。例えば「多剤服用によるコンプライアンス低下の懸念がある」「手指の機能障害によりPTPからの取り出しが困難」など、患者個々の状況に応じた理由を記載します。
一包化後の服薬状況について評価し、記録します。「一包化により服薬忘れが減少した」「服薬管理が容易になったと患者から報告あり」など、一包化の効果を具体的に記載します。
一包化の指示を得た際のやり取りや、一包化後の服薬状況について処方医へフィードバックした内容を記録します。
特殊な一包化方法(朝・昼・夕・就寝前で色分けした、錠剤と散剤を別々に一包化したなど)を採用した場合は、その方法と理由を記載します。
一包化による服薬状況の変化を継続的に評価するため、次回来局時に確認すべき事項を記載しておきます。
適切な薬歴記載は、単に算定要件を満たすためだけでなく、継続的な服薬支援の質を高めるためにも重要です。また、薬歴は調剤報酬請求の根拠資料としても機能するため、算定の妥当性を示す記載を心がけましょう。
薬歴記載例。
【一包化の必要性】多剤服用中(10種類以上)で、自己管理が困難との訴えあり。
【処方医の了解】〇〇医師に確認し、一包化の了承を得た。
【一包化の方法】朝・昼・夕・就寝前で色分けして一包化。
【服薬指導内容】一包化した薬の服用方法を説明。色分けの意味を理解されていることを確認。
【次回確認事項】一包化による服薬状況の変化、残薬の状況。
このような具体的な記載により、外来服薬支援料2の算定根拠が明確になります。
2024年度の調剤報酬改定では、外来服薬支援料2についていくつかの変更点があります。最新の情報を把握し、適切に対応することが重要です。
主な改定ポイントは以下の通りです。
医療機関との連携を強化するため、施設連携加算が新設されました。医療機関と薬局が連携して一包化による服薬支援を行う場合に算定できます。
一包化の対象となる「服用時点が異なる2種類以上の内服用固形剤」について、服用時点が重なる必要があることが明確化されました。例えば、朝食後と朝夕食後のように、少なくとも一部の服用時点が重なる必要があります。
単なる一包化作業ではなく、一包化を通じた服薬支援の質を評価する方向性が強化されています。一包化後のフォローアップや服薬状況の評価が重視されています。
多剤服用患者や服薬困難な患者など、一包化が必要な患者像がより明確に示されています。治療上の必要性が認められる場合に限定されています。
これらの改定を踏まえ、単に一包化業務を行うだけでなく、患者の服薬状況を継続的に評価し、必要に応じて処方医へのフィードバックを行うなど、薬学的管理の質を高める取り組みが求められています。
2024年度改定の詳細については、厚生労働省の公式発表や関連団体からの情報を随時確認することをお勧めします。
以上が外来服薬支援料2(一包化加算)の算定に関する主なポイントです。患者の服薬管理をサポートするための重要な業務として、適切な算定と質の高いサービス提供を心がけましょう。