
服薬情報等提供料は、薬剤師が調剤後も患者さんの服薬状況を把握し、医療機関へ情報提供を行った場合に算定できる薬学管理料です。特に服薬情報等提供料1は、医療機関からの求めに応じて情報提供を行った場合に算定できる重要な項目となっています。
2024年度(令和6年度)の調剤報酬改定では、服薬情報等提供料にいくつかの変更点がありました。服薬情報等提供料1については、薬剤服用歴への記録が不要になるなどの変更がありましたが、基本的な算定要件は維持されています。
服薬情報等提供料1は、30点が算定でき、月1回に限り算定が可能です。算定するためには以下の条件を満たす必要があります。
情報提供の内容としては、以下のような項目が含まれます。
具体的な算定場面としては、次のようなケースが挙げられます。
服薬情報等提供料には1、2、3の3種類があり、それぞれ算定要件と点数が異なります。
種類 | 点数 | 主な算定要件 | 算定可能回数 |
---|---|---|---|
服薬情報等提供料1 | 30点 | 医師からの求めがあった場合 | 月1回 |
服薬情報等提供料2 | 20点 | 薬剤師が必要と判断した場合 | 月1回 |
服薬情報等提供料3 | 50点 | 入院予定患者の情報提供 | 3ヶ月に1回 |
服薬情報等提供料1は医師からの求めに応じて情報提供を行う場合に算定します。一方、服薬情報等提供料2は薬剤師の判断で情報提供が必要と考えた場合や、患者さんやその家族から求めがあった場合に算定できます。
2024年度の改定では、服薬情報等提供料2が3区分に明確化され、リフィル処方箋に基づく調剤後の情報提供や介護支援専門員への情報提供が追加されました。
服薬情報等提供料3は、入院を予定している患者さんについて医療機関から情報提供の求めがあった場合に算定できるもので、点数も50点と高くなっています。
同一患者に対して、服薬情報等提供料1〜3をそれぞれ同一月に算定することは可能ですが、同一の情報を同一保険医療機関に対して提供した場合は重複して算定できません。
服薬情報等提供料1を算定する際には、以下の点に注意が必要です。
服薬情報等提供料1の算定を増やすためには、「医療機関の求め」が必要という点がネックになることがあります。しかし、受け身の姿勢ではなく、薬局から積極的に医療機関にアプローチすることで算定機会を増やすことが可能です。
具体的なアプローチ方法
医療機関からの「求め」を引き出すことも算定要件の一つと捉え、積極的に医療機関にアピールする姿勢が重要です。
実際の算定事例を見ながら、効果的な情報提供文書の作成ポイントを紹介します。
残薬報告の場合の事例
医療機関から残薬の報告を求められた場合、単に「〇〇錠が△錠残っています」という報告だけでは不十分です。以下のような情報を含めることで、より価値のある情報提供になります。
文書作成のポイント
これらのポイントを押さえた情報提供文書を作成することで、医療機関からの評価も高まり、継続的な情報提供の依頼につながります。
参考:日本薬剤師会「令和6年度調剤報酬改定における服薬情報等提供料の解説」
服薬情報等提供料1の算定を増やすことは、単に薬局の収益向上だけでなく、患者さんの薬物療法の質の向上や医療機関との連携強化にもつながります。積極的な情報提供を通じて、地域医療における薬局・薬剤師の存在価値を高めていくことが重要です。
医療機関との連携を深め、患者さんの服薬状況を適切に把握・報告することで、薬物療法の安全性と有効性の向上に貢献しましょう。服薬情報等提供料1の算定は、そのための重要なツールの一つとなります。
また、2024年度の調剤報酬改定で薬剤服用歴への記録が不要になったことで、業務の効率化も期待できます。この機会に服薬情報等提供料1の算定に積極的に取り組み、薬局の機能と価値を高めていきましょう。